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株式会社コアミックス代表取締役社長 堀江信彦インタビュー (2017年2月28日)-THEME1
Interview
株式会社コアミックス
代表取締役社長
堀江信彦 インタビュー
(2017年2月28日)
学び、育て、広げていく。
止まることを知らない、
“次の漫画”への挑戦。
学び、育て、広げていく。
止まることを知らない、
“次の漫画”への挑戦。
THEME1
輸出すべきなのは、作品ではなく漫画づくりの文法。
「編集者の研究所・漫画の研究所という側面が強くなっている」
現在、コアミックス社として、どういった部分に力を入れていますか?
堀江:
社を挙げて取り組んでいるのは、編集者の育成です。スタッフの編集技術を徹底的に磨き上げることに今は注力しています。
コアミックスは漫画に関する事業しかないところが特色ですよね。
堀江:
僕たちはずっと漫画をつくり続けてきました。僕自身も40年ちかくそれをやり続けています。だから編集技術を蓄積していくことができます。したがって今は、出版社というより“編集者の研究所”、“漫画の研究所”という側面が強くなってきていると思います。
“研究”ですか?
堀江:
実際に、ある大学の研究チームと共同研究することで、人の感情のメカニズムや、脳波の研究、生体反応実験などを行って、本当に求められている漫画を科学的に検証するための取り組みを進めています。
漫画家さんや編集者の漫画づくりのプロセスに、体系立てられたロジックを組み込む作業ということですか?
堀江:
そうです。すべてに理屈を求めて、言葉にする。言葉にすることで説明することができます。編集者は言葉を磨くことがとても大切です。“勘”ではなく、きちんとした理屈をベースにして、ドラマづくりのアドバイスができるようになる必要があると思っています。
そのために、編集者の育成に力を入れているんですね。
堀江:
なぜかというと、日本が海外に向けて輸出すべきは、漫画作品そのものではなく、漫画づくりの文法だと思うからです。だからその文法をしっかりと理解して、言葉で説明できるというスキルが非常に大事なんです。
編集者の技術というのは、具体的にはどういったものなのでしょうか。
堀江:
たとえば、人間の持つ幸福感や感動は、とても他愛のないことから生まれてくるものです。幸せとは、ストレスのない状態のこと。そこに、ちょっと楽しみなことがあったりすると、それですごく幸せなんです。仕事もほどほど上手くいっていて、特に食うにも困らず、休みの日にリビングでゴロゴロして「晩ごはん、何を食べようかな」なんて考えている…その状態こそが人間の幸せMAXなんです。
そんな些細なことと、大きな夢が叶った時と、さほど変わらないということですね。
堀江:
漫画の作品の中で幸せばかりを表現するのではなく、そこにストレスとなる環境を与えることで、ドラマになっていきます。ヒーローものの作品において、主人公が散々戦かった上に取り戻したものって、ただの日常生活であることが多いですよね?
幸せな情景をたくさん描くことよりも、苦しみを強く描くことでストレスをかけていって、その中で小さな希望が見えた時にこそ、幸せを感じられます。それが漫画の引きになったり、ドラマの波になったりしていきます。そういったカラクリを編集者が知っている必要があると思います。
そういった知識があるかないかで、ストーリーづくりや、作家さんへのアドバイスの内容が大きく変わってきますね。
堀江:
また、人間には6つの感情表現があります。喜び、怒り、悲しみ、驚き、嫌悪、不安ですね。漫画ではその感情を思いっきりデフォルメして描いていますが、この6つの感情に関しては万国共通で理解できることも分かってきました。なぜなら、言葉がない時代に、人間は顔色や表情を見てコミュニケーションをしていたそうです。本能的に感情が分かるから、漫画のキャラクターの顔は、言葉なしでも伝えることができるんだと思います。そういった仕組みなども、編集者は知っておいた方がいいかもしれませんね。
株式会社コアミックス 代表取締役社長 堀江信彦 インタビュー
(2017年2月28日)
THEME2/3
狩猟型ではなく、農耕型の出版社に。「売れるべくして売れる作品づくりに取り組んでいる」